牧野悠
PRIMA! 共同創業者 / DX・マーケティング支援企業 執行役員
【保存版】ハンドメイド価格設定の教科書|原価計算から利益率まで実例で解説
「この価格で売っていいのかな?」「安すぎて利益が出ない…」「高すぎて売れないかも…」
ハンドメイド作家の多くが、価格設定に悩んでいます。私がマーケティング・DX支援として関わるPRIMA!(プリマ)というビーズアクセサリーブランドでも、原価計算を徹底し適正価格を設定したことが、ブランド成長の大きな転換点になりました。
この記事では、ハンドメイド作家が実践すべき価格設定の方法を、原価計算シート・計算式・実例とともに徹底解説します。
この記事で分かること:
- なぜハンドメイドは「安売り」してしまうのか
- 適正な原価率・利益率の目安
- 原価計算の5つの要素(材料費・梱包費・配送費・手数料・人件費)
- 価格設定の3ステップ(計算式付き)
- 商品別の価格設定実例(ピアス・ネックレス・バッグ・ウェディングアイテム)
- 「高い」と言われたときの対処法
- 値上げのタイミングと方法
- 利益率を上げる5つの方法
この記事の信頼性:
- PRIMA!(ビーズアクセサリーブランド)のマーケティング・DX支援を担当
- 株式会社AsetZ 執行役員として財務・マーケティングの専門知識あり
- 一部上場金融機関出身の実務経験
それでは、多くのハンドメイド作家が陥る「安売り」の罠から見ていきましょう。
なぜハンドメイドは「安売り」してしまうのか?
ハンドメイド作家の多くが、「安売り」で利益が出ない状態に陥っています。なぜこうなってしまうのか、3つの理由を見ていきましょう。
理由1: 原価計算をしていない(材料費だけで価格を決める)
よくある失敗パターン: 「材料費が500円だから、1,000円で売れば儲かる!」
これは大きな間違いです。材料費以外にも、以下のコストがかかります。
- 梱包費(箱・袋・ショップカード)
- 配送費(送料・配送資材)
- 手数料(販売プラットフォーム手数料10%〜)
- 人件費(あなたの制作時間)
実際の計算:
- 材料費: 500円
- 梱包費: 50円
- 配送費: 120円
- 手数料(10%): 100円
- 人件費(制作時間30分、時給1,000円換算): 500円
- 実際の原価: 1,270円
販売価格1,000円では、270円の赤字です。
多くの初心者が、材料費だけを見て価格を決めてしまい、結果的に赤字になっています。
理由2: 自分の時間をコストとして計算していない
よくある考え方: 「趣味の延長だから、自分の時間はタダでいい」
これも大きな間違いです。あなたの時間には価値があります。
時給換算してみる:
- 制作時間: 2時間
- 販売価格: 3,000円
- 材料費等: 1,000円
- 利益: 2,000円
- 時給換算: 2,000円 ÷ 2時間 = 1,000円/時
これならまだ良いですが、多くの作家は時給500円以下になっています。
あなたの時間は、最低でも時給1,000円の価値があります。 それを価格に反映させないと、ビジネスとして成り立ちません。
理由3: 「趣味の延長」と思ってしまう
よくある心理: 「趣味でやってるから、利益は少なくてもいい」 「お小遣い稼ぎ程度でいい」
この考え方が、安売りの根本原因です。
「趣味」と「ビジネス」の違い:
- 趣味: 利益ゼロでも楽しければOK
- ビジネス: 適正な利益を確保して継続する
ハンドメイド販売を続けたいなら、「ビジネス」として考える必要があります。適正な利益を確保しないと、材料も買えなくなり、結局続けられなくなります。
よくある失敗例|原価率が高すぎて利益がほぼ出ない
多くのハンドメイド作家が、初期に「安売り」の罠に陥っています。
よくある価格設定の失敗例:
- ピアス1個の材料費: 400円
- 販売価格: 1,200円
- 手数料(10%): 120円
- 梱包費・配送費: 170円
- 利益: 1,200円 - 120円 - 170円 - 400円 = 510円
- 制作時間: 30分(人件費500円)
- 実質利益: 510円 - 500円 = 10円
- 利益率: ほぼゼロ
時給換算すると、ほぼゼロ。完全にボランティア状態です。
なぜこうなるのか:
- 材料費だけを見て価格を決めている
- 人件費をコストと考えていない
- 「初心者だから安くしないと売れない」と思っている
改善の方向性:
- 原価計算を徹底する
- 人件費を必ずコストに含める
- 適正価格に値上げする
- 結果、利益率が大幅に改善する
次のセクションでは、業界の適正価格の目安を見ていきましょう。
ハンドメイドの適正価格とは?業界の目安
「自分の価格設定は適正なのか?」を判断するため、業界の目安を知っておきましょう。
一般的な価格設定の公式: 販売価格 = 原価 × 3〜5倍
ハンドメイド業界では、以下の公式が一般的です。
販売価格 = 原価 × 3〜5倍
例:
- 原価500円の場合
- 最低ライン: 500円 × 3 = 1,500円
- 推奨: 500円 × 4 = 2,000円
- 高品質・ブランド化: 500円 × 5 = 2,500円
なぜ3〜5倍なのか:
- 材料費以外のコスト(梱包・配送・手数料・人件費)を含める
- 適正な利益を確保する
- 不良品・返品リスクに備える
原価率の目安: 20〜35%
原価率とは:
原価率 = 原価 ÷ 販売価格 × 100
業界の目安:
- 優秀: 20〜25%(高利益率、ブランド化成功)
- 良好: 25〜30%(適正利益、継続可能)
- ギリギリ: 30〜35%(改善の余地あり)
- 危険: 35%以上(利益が少ない、改善必須)
利益率の目安: 40〜60%
利益率とは:
利益率 = (販売価格 - 原価) ÷ 販売価格 × 100
業界の目安:
- 優秀: 60%以上(高利益、ブランド化成功)
- 良好: 50〜60%(適正利益、継続可能)
- ギリギリ: 40〜50%(改善の余地あり)
- 危険: 40%未満(利益が少ない、改善必須)
ジャンル別の価格相場(アクセサリー・雑貨・服飾)
| ジャンル | 価格相場 | 原価率目安 | 利益率目安 |
|---|---|---|---|
| ピアス・イヤリング | 1,000〜3,000円 | 25〜30% | 50〜60% |
| ネックレス | 2,000〜5,000円 | 25〜30% | 50〜60% |
| ブレスレット | 1,500〜4,000円 | 25〜30% | 50〜60% |
| 布製バッグ | 3,000〜10,000円 | 30〜35% | 45〜55% |
| スマホケース | 1,500〜3,000円 | 30〜35% | 45〜55% |
| ウェディングアイテム | 10,000〜30,000円 | 30〜40% | 40〜50% |
ポイント:
- アクセサリーは小さく軽いため、配送費が安い → 利益率高め
- 布製品は制作時間が長い → 人件費高め
- ウェディングアイテムは高単価だが、原価も高い
業界の目安を理解したところで、次のセクションで原価計算の方法を詳しく見ていきます。
【基礎知識】原価計算の5つの要素
原価計算は、価格設定の基礎です。以下の5つの要素を全て含めて計算しましょう。
1. 材料費(パーツ・生地・糸等)
計算方法: 商品1個に使う材料の合計金額です。
注意点:
- まとめ買いした場合は、1個あたりに按分する
- 例: ビーズ100個で1,000円 → 1個あたり10円
材料費例(ピアス):
- ビーズ(天然石): 200円
- メタルパーツ: 50円
- ピアス金具: 50円
- 合計: 300円
2. 梱包費(箱・袋・緩衝材・ショップカード)
よく見落とされるコスト:
- OPP袋: 5円
- 台紙: 10円
- ショップカード: 10円
- シール: 5円
- プチプチ(緩衝材): 10円
- 封筒: 10円
- 合計: 50円
ワンポイントアドバイス: 梱包にこだわるとコストが上がりますが、顧客満足度も上がります。バランスが重要です。
3. 配送費(送料・配送資材)
プラットフォーム別の配送費:
- minne/Creema: 購入者負担が多いが、送料込み価格の場合は原価に含める
- メルカリ: 匿名配送(らくらくメルカリ便・ゆうゆうメルカリ便)
- BASE: 送料別 or 送料込み(どちらも設定可能)
配送方法別の料金:
- ネコポス(A4・厚さ3cm以内): 210円
- クリックポスト: 185円
- 定形外郵便(50g以内): 120円
- レターパックライト: 370円
配送費例(ピアス):
- 定形外郵便(50g以内): 120円
4. 手数料(販売プラットフォーム手数料・決済手数料)
プラットフォーム別手数料:
- minne: 10.56%
- Creema: 11%
- メルカリ: 10%
- BASE: 6.6% + 40円
- Instagram(DM販売): 0%
計算例(minne):
- 販売価格: 1,500円
- 手数料: 1,500円 × 10.56% = 158円
注意: 手数料は販売価格から引かれるため、原価ではありませんが、利益計算に必ず含めましょう。
詳しいプラットフォーム比較は、ハンドメイド販売サイト徹底比較をご覧ください。
5. 人件費(制作時間 × 時給)
最も見落とされるコスト: あなたの制作時間には価値があります。必ず人件費を計算に含めましょう。
時給の設定:
- 最低ライン: 時給1,000円
- 推奨: 時給1,200〜1,500円
- ブランド化後: 時給2,000円以上
計算方法:
- 制作時間を正確に測る(タイマー使用)
- 時給を掛ける
人件費例(ピアス):
- 制作時間: 15分
- 時給: 1,000円
- 人件費: 1,000円 × (15分 ÷ 60分) = 250円
見落としがちなコスト: 道具の減価償却・電気代・撮影費
さらに細かく見ると:
- 道具の減価償却: ペンチ・ニッパー・ミシン等の工具
- 電気代: 作業スペースの照明
- 撮影費: カメラ・照明・背景布
- 在庫管理: 材料の保管場所
- 不良品リスク: 作り直しの時間・材料
これらは細かすぎるため、通常は人件費に含めて考えます。
ピアス1個の原価計算を全公開
実際の計算シート:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 材料費 | 300円 |
| 梱包費 | 50円 |
| 配送費 | 120円 |
| 人件費(15分、時給1,000円) | 250円 |
| 原価合計 | 720円 |
| 販売価格(目標利益率60%) | 1,800円 |
| 手数料(10%) | 180円 |
| 利益 | 900円 |
| 利益率 | 50% |
この例では:
- 原価率: 720円 ÷ 1,800円 = 40%(やや高め)
- 目標の30%にするには、販売価格を2,400円にする必要あり
次のセクションでは、この計算を使って実際に価格を設定する3ステップを見ていきます。
【実践】価格設定の3ステップ
原価計算ができたら、次は販売価格を決めます。3つのステップで進めましょう。
ステップ1: 原価を正確に計算する
1-1. 材料費の計算方法(1個あたりの按分)
まとめ買いした材料は、1個あたりに按分します。
例: ビーズ
- 購入: 100個で2,000円
- 1個あたり: 2,000円 ÷ 100個 = 20円
例: 生地
- 購入: 1mで1,500円
- 使用量: トートバッグ1個で0.5m
- 1個あたり: 1,500円 × 0.5 = 750円
1-2. 制作時間の測定方法(タイマーで計測)
制作時間を正確に測りましょう。
測定方法:
- スマホのタイマーをスタート
- 制作開始
- 完成したらストップ
- 時間を記録(例: 18分)
慣れるまで: 最初の3〜5個は時間がかかりますが、慣れると短縮されます。平均時間を使いましょう。
1-3. 人件費の設定(時給1,000円〜1,500円が目安)
時給の決め方:
- 初心者: 時給1,000円
- 中級者(月商10万円以上): 時給1,200〜1,500円
- 上級者(月商30万円以上): 時給2,000円以上
時給設定の例:
- 初期: 時給1,000円
- 成長後: 時給1,500円(スキルアップ・ブランド化による)
1-4. 原価計算シート(Excelテンプレート)の使い方
実際に使える原価計算シートを無料公開しています。
シートの構成:
- 材料費入力欄
- 梱包費入力欄
- 配送費入力欄
- 制作時間入力欄(自動で人件費計算)
- 手数料率入力欄
- 目標利益率入力欄
- 販売価格を自動計算
ダウンロード方法: 記事末のCTAからダウンロードできます。
ステップ2: 目標利益率から販売価格を算出する
原価が計算できたら、販売価格を決めます。
利益率60%を目指す場合の計算式:
販売価格 = 原価 ÷ (1 - 目標利益率 - 手数料率)
例: 原価500円、利益率60%、手数料10%の場合
販売価格 = 500 ÷ (1 - 0.6 - 0.1)
= 500 ÷ 0.3
= 1,667円
→ 1,680円(切りの良い数字に調整)
計算の内訳:
- 販売価格: 1,680円
- 手数料(10%): 168円
- 原価: 500円
- 利益: 1,680円 - 168円 - 500円 = 1,012円
- 利益率: 1,012円 ÷ 1,680円 = 60.2%
計算例: ピアス原価450円 → 販売価格1,500円
計算:
販売価格 = 450 ÷ (1 - 0.6 - 0.1)
= 450 ÷ 0.3
= 1,500円
検証:
- 販売価格: 1,500円
- 手数料(10%): 150円
- 原価: 450円
- 利益: 1,500円 - 150円 - 450円 = 900円
- 利益率: 900円 ÷ 1,500円 = 60%
目標達成!
ステップ3: 市場相場と比較して微調整する
計算で出た価格が、市場相場と大きくズレていないか確認しましょう。
競合のリサーチ方法(minne・Creemaで同ジャンル検索)
- minne・Creema で同じジャンルを検索
- 上位20件の価格をチェック
- 価格帯の分布を見る
例: ビーズピアスの価格分布
- 800〜1,200円: 30%
- 1,200〜1,800円: 50%
- 1,800円以上: 20%
自分の価格をどこに設定するか:
- 初心者: 中央値〜やや下(1,200〜1,500円)
- 中級者: 中央値〜やや上(1,500〜1,800円)
- ブランド化: 上位価格帯(1,800円以上)
自分の強み(デザイン・品質・ストーリー)を価格に反映
単なる価格競争ではなく、「なぜこの価格なのか」を説明できるようにしましょう。
価格を上げられる要素:
- デザインの独自性
- 素材の質(天然石・本革等)
- 制作工程の丁寧さ
- ブランドストーリー
- SNSフォロワー数(信頼の証)
ブランドの強みの例:
- SNSでの高いフォロワー数(信頼の証)
- 天然石を使用したオリジナルデザイン
- 丁寧な梱包・サンクスカード
これらの強みを価格に反映することで、定価販売を実現できます。
価格調整の考え方: 計算値と市場相場のバランス
例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
計算上の価格:
- 原価: 450円
- 目標利益率: 60%
- 計算上の販売価格: 1,500円
もう少し高く設定したい場合: 1,800円に設定してみたものの、思ったより売れない。競合リサーチで同じようなピアスの相場が1,200〜1,500円だと気づき、1,500円に調整すると売上が安定する、というケースはよくあります。
ポイント: 計算だけでなく、市場相場も重要。両方のバランスを取ることが大切です。
次のセクションでは、具体的な商品別の価格設定実例を見ていきます。
【ケーススタディ】商品別の価格設定実例
実際の商品で、原価計算から販売価格まで見ていきましょう。
実例1: ピアス(シンプルデザイン)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 材料費 | 300円 |
| ・ビーズ(天然石) | 200円 |
| ・メタルパーツ | 50円 |
| ・ピアス金具 | 50円 |
| 梱包費 | 50円 |
| ・OPP袋、台紙、ショップカード | 50円 |
| 配送費 | 120円 |
| ・定形外郵便(50g以内) | 120円 |
| 人件費 | 250円 |
| ・制作時間15分(時給1,000円換算) | 250円 |
| 原価合計 | 720円 |
| 販売価格(計算) | 720円 ÷ 0.3 = 2,400円 |
| 販売価格(実際) | 1,980円(市場相場に合わせて調整) |
| 手数料(10%) | 198円 |
| 利益 | 1,980円 - 198円 - 720円 = 1,062円 |
| 利益率 | 1,062円 ÷ 1,980円 = 53.6% |
ポイント:
- 計算上は2,400円だが、市場相場を見て1,980円に調整
- 利益率は53.6%と目標の60%に届かないが、売れやすさを優先
実例2: ネックレス(天然石使用)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 材料費 | 800円 |
| ・天然石(ラピスラズリ) | 500円 |
| ・チェーン | 200円 |
| ・アジャスター | 100円 |
| 梱包費 | 80円 |
| ・ギフトボックス、リボン | 80円 |
| 配送費 | 150円 |
| ・ゆうパケット | 150円 |
| 人件費 | 500円 |
| ・制作時間30分(時給1,000円換算) | 500円 |
| 原価合計 | 1,530円 |
| 販売価格(計算) | 1,530円 ÷ 0.3 = 5,100円 |
| 販売価格(実際) | 4,980円 |
| 手数料(10%) | 498円 |
| 利益 | 4,980円 - 498円 - 1,530円 = 2,952円 |
| 利益率 | 2,952円 ÷ 4,980円 = 59.3% |
ポイント:
- 天然石を使用しているため、材料費が高い
- ギフトボックスで高級感を演出
- 利益率59.3%と目標達成
実例3: 布製バッグ(トートバッグ)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 材料費 | 600円 |
| ・生地 | 400円 |
| ・持ち手 | 150円 |
| ・糸・接着芯 | 50円 |
| 梱包費 | 100円 |
| ・ビニール袋、タグ | 100円 |
| 配送費 | 200円 |
| ・宅急便コンパクト | 200円 |
| 人件費 | 2,000円 |
| ・制作時間2時間(時給1,000円換算) | 2,000円 |
| 原価合計 | 2,900円 |
| 販売価格(計算) | 2,900円 ÷ 0.3 = 9,667円 |
| 販売価格(実際) | 9,800円 |
| 手数料(10%) | 980円 |
| 利益 | 9,800円 - 980円 - 2,900円 = 5,920円 |
| 利益率 | 5,920円 ÷ 9,800円 = 60.4% |
ポイント:
- 制作時間が長いため、人件費が高い
- 販売価格が高くなるが、利益率は確保
- トートバッグは需要が高く、高単価でも売れる
実例4: ウェディングアイテム(ウェルカムボード)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 材料費 | 2,000円 |
| ・キャンバス | 800円 |
| ・造花・装飾パーツ | 1,000円 |
| ・アクリル絵の具 | 200円 |
| 梱包費 | 300円 |
| ・段ボール、緩衝材 | 300円 |
| 配送費 | 800円 |
| ・宅急便60サイズ | 800円 |
| 人件費 | 5,000円 |
| ・制作時間5時間(時給1,000円換算) | 5,000円 |
| 原価合計 | 8,100円 |
| 販売価格(計算) | 8,100円 ÷ 0.3 = 27,000円 |
| 販売価格(実際) | 26,800円 |
| 手数料(10%) | 2,680円 |
| 利益 | 26,800円 - 2,680円 - 8,100円 = 16,020円 |
| 利益率 | 16,020円 ÷ 26,800円 = 59.8% |
ポイント:
- 高単価商品だが、制作時間も長い
- ウェディングアイテムは「一生に一度」のため、高単価でも売れる
- 利益率60%近くを確保
これらの実例を参考に、あなたの商品の価格を計算してみましょう。次のセクションでは、「高い」と言われたときの対処法を見ていきます。
「高い」と言われたときの対処法
適正価格を設定すると、「高い」と言われることがあります。どう対処すべきか、見ていきましょう。
対処法1: 価格の理由を伝える(制作工程・素材のこだわり)
「高い」と言われたら: 「高い」と言う人は、価格の理由を知らない可能性があります。
伝えるべきこと:
- 制作工程(手作業・時間がかかる)
- 素材のこだわり(天然石・本革等)
- 品質管理(検品・梱包の丁寧さ)
- ブランドストーリー
伝え方の例: 「このピアスは天然石を使用しており、1つ1つ手作業で丁寧に仕上げています。また、金属アレルギー対応のピアス金具を使用しています。」
効果: 価格の理由が分かると、納得して購入してくれる人が増えます。
対処法2: 低価格商品もラインナップに加える
価格帯を広げる: 高単価商品だけでなく、低価格商品もラインナップに加えましょう。
効果的な価格戦略の例:
- エントリー商品: 1,000円台(ピアス・イヤリング)
- ミドル商品: 2,000〜3,000円台(ネックレス・ブレスレット)
- プレミアム商品: 5,000円以上(限定デザイン・オーダーメイド)
効果:
- 低価格商品で入口を広げる
- 購入後、リピーターとして高単価商品を買ってくれる
対処法3: 「高い」と言う人はターゲットではないと割り切る
重要な考え方: 「高い」と言う人は、あなたのターゲットではありません。
あなたのターゲット:
- ハンドメイドの価値を理解してくれる人
- 素材・品質にこだわる人
- ブランド・ストーリーに共感してくれる人
「高い」と言う人:
- 安さ重視
- ハンドメイドの価値を理解していない
- 大量生産品と比較している
大切な考え方: 「高い」と言われても、価格を下げません。価値を理解してくれる人だけに買ってもらえば十分です。
価格交渉への対応例
ハンドメイド販売をしていると、値引き交渉を受けることがあります。
よくあるメッセージ例: 「このピアス、可愛いですね!でも1,500円は高いので、1,000円にしてもらえませんか?」
おすすめの対応: 「ありがとうございます。ただ、この価格は素材・制作時間を考慮した適正価格です。値引きは行っておりません。ご理解いただけますと幸いです。」
ポイント:
- 値引き交渉に応じる必要はない
- 値引きすると、ブランド価値が下がる
- 適正価格で買ってくれる人だけをターゲットにする
次のセクションでは、値上げのタイミングと方法を見ていきます。
値上げするタイミングと方法
売上が安定してきたら、値上げを検討しましょう。
値上げすべきサイン: 毎日売れる・在庫が追いつかない
以下のサインが出たら、値上げのタイミングです:
- 毎日売れる
- 在庫が追いつかない
- 制作が追いつかない
- 時給換算が低い(1,000円以下)
具体例: 月間販売数が大幅に増え、制作が追いつかなくなったとき。これが値上げのサインです。
値上げの幅: 一度に10〜20%が目安
値上げしすぎると:
- 既存顧客が離れる
- 売上が急減する
値上げの幅の目安:
- 控えめ: 10%アップ(1,500円 → 1,650円)
- 適正: 15%アップ(1,500円 → 1,725円 → 1,680円に調整)
- 大胆: 20%アップ(1,500円 → 1,800円)
アドバイス: 段階的に値上げするのがコツです。一度に大幅に上げるのではなく、少しずつ価格を調整していきましょう。
値上げの伝え方: SNSで事前告知・理由を説明
値上げを告知する方法:
- SNS(Instagram・Twitter)で事前告知(1週間前)
- 値上げの理由を説明
- 感謝の気持ちを伝える
告知の例:
【価格改定のお知らせ】
いつもPRIMA!をご愛顧いただき、ありがとうございます。
これまで1,500円で販売しておりましたピアスを、
2024年◯月◯日より1,680円に改定させていただきます。
理由:
・天然石の仕入れ価格が上昇したため
・より丁寧な梱包・品質管理を行うため
今後もより良い商品をお届けできるよう努めてまいります。
引き続きよろしくお願いいたします。
PRIMA! 牧野
ポイント:
- 理由を明確に伝える
- 感謝の気持ちを忘れない
- 事前告知で既存顧客に配慮
値上げの段階的アプローチ
段階的な値上げの考え方:
| 段階 | アクション | 理由 |
|---|---|---|
| 開始時 | 市場相場よりやや低め | まずは実績づくり |
| 実績がついたら | 適正価格に調整(10-25%アップ) | 原価計算を徹底、適正価格に |
| ブランド認知後 | さらに調整(5-15%アップ) | 売上安定、ブランド化 |
| ファン獲得後 | プレミアム価格も検討 | SNSフォロワー増、信頼獲得 |
値上げ後の売上変化: 販売数は減ったが利益は増えた
値上げをすると、販売数は多少減少しますが、利益は増えるケースが多いです。
一般的な傾向:
- 10〜20%の値上げで、販売数は10〜20%減少
- しかし、単価アップにより利益額は増加
- 制作時間が減り、時間的余裕ができる
- より丁寧な制作・顧客対応ができるようになる
多くのブランドが同様の経験をしています。値上げ後に販売数は減少しても、1個あたりの利益が増え、結果的に月間利益は増加するケースが多いです。
次のセクションでは、やってはいけない価格設定を見ていきます。
【注意】やってはいけない価格設定
価格設定でよくある失敗パターンを見ていきましょう。
NG1: 材料費だけで価格を決める(人件費を無視)
失敗例: 「材料費500円だから、1,000円で売れば十分」
なぜダメか:
- 人件費を無視している
- 梱包費・配送費・手数料を計算していない
- 結果、時給換算300円以下になる
正しい考え方: 材料費・梱包費・配送費・手数料・人件費を全て含めて計算する。
NG2: 競合より安くすれば売れると思う(価格競争の罠)
失敗例: 「競合が1,500円だから、1,200円にすれば売れる」
なぜダメか:
- 価格競争に巻き込まれる
- 利益率が下がり続ける
- ブランド価値が下がる
正しい考え方: 価格で勝負せず、デザイン・品質・ストーリーで差別化する。
NG3: 一度決めた価格を変えない(市場の変化に対応しない)
失敗例: 「最初に1,200円で決めたから、ずっと1,200円のまま」
なぜダメか:
- 材料費が上がっても価格が据え置き
- 利益率が下がり続ける
- スキルアップしても価格に反映されない
正しい考え方: 定期的に原価を見直し、必要に応じて値上げする。
NG4: セールを頻繁にする(ブランド価値が下がる)
失敗例: 「毎月10%オフセール」
なぜダメか:
- 定価で買わなくなる
- ブランド価値が下がる
- 利益率が下がる
正しい考え方: セールは年1〜2回(在庫処分・記念セール等)に限定する。
セールのやりすぎが招く悪循環
売上を伸ばしたくて毎月セールを実施すると、以下のような悪循環に陥りがちです。
よくある結果:
- 定価で買う人が減る
- 「次のセールまで待とう」と思われる
- セール時だけ売れるが、平常時は売れない
- 利益率が下がり、疲弊する
改善策:
- セールを年2回(夏・冬)に限定
- 定価販売を基本にする
- 限定商品・新作は定価のみ
改善後の変化:
- 定価で買ってくれる人が増える
- 利益率が安定する
- ブランド価値が上がる
次のセクションでは、利益率を上げる5つの方法を見ていきます。
利益率を上げる5つの方法
利益率を上げることで、同じ売上でも手元に残るお金が増えます。
方法1: 材料の仕入れ先を見直す(問屋・海外仕入れ)
材料費を下げる方法:
- 小売店(ユザワヤ・パーツクラブ等): 高い
- 問屋(浅草橋等): 小売店の50〜70%
- 海外仕入れ(AliExpress・Alibaba等): 国内の30〜50%
仕入れ先の成長ステップ(一般的な流れ):
- 初期: ユザワヤ等の小売店
- 成長後: 浅草橋の問屋 + 海外仕入れ
効果: 材料費が50%削減 → 利益率が大幅改善
注意点:
- 海外仕入れは到着まで時間がかかる(2〜4週間)
- 品質にばらつきがある場合も
方法2: 制作時間を短縮する(工程の見直し・治具の活用)
制作時間を短縮する方法:
- 工程の見直し: 無駄な動きを減らす
- 治具の活用: 同じサイズに切る・曲げる等の作業を効率化
- まとめ作業: 同じ工程をまとめて行う
効率化の例:
- ビーズを通す工程: 1個ずつ → 10個まとめて
- 制作時間: 30分 → 20分(33%削減)
- 人件費: 500円 → 333円(167円削減)
効果: 制作時間が短縮 → 人件費が下がる → 利益率が上がる
方法3: 手数料の低いプラットフォームを活用(Instagram・BASE)
プラットフォーム別手数料:
- minne: 10.56%
- Creema: 11%
- メルカリ: 10%
- BASE: 6.6% + 40円
- Instagram(DM販売): 0%
効果的な戦略例:
- minne: 新規顧客獲得(手数料10.56%は必要コスト)
- Instagram → BASE: リピーター向け(手数料6.6%)
効果: Instagram フォロワーが増えるほど、手数料の低いプラットフォームへ誘導できる。
詳しくは、ハンドメイド販売サイト徹底比較をご覧ください。
方法4: まとめ買い割引で客単価を上げる
まとめ買い割引の例:
- 1個: 1,500円
- 2個セット: 2,800円(200円お得)
- 3個セット: 4,000円(500円お得)
効果:
- 客単価が上がる
- 1回の発送で複数個売れる → 効率的
効果: まとめ買い割引の導入で、客単価が大幅に向上するケースが多いです。
方法5: 高単価商品をラインナップに加える
価格帯を広げる:
- エントリー商品: 1,000円台
- ミドル商品: 2,000〜3,000円台
- プレミアム商品: 5,000円以上
高単価商品の例:
- オーダーメイド
- 限定デザイン
- 天然石・本革等の高級素材使用
効果:
- 利益額が大きい
- ブランドイメージが上がる
高単価商品の例:
- オーダーメイドピアス: 5,000円〜
- ウェディングアイテム: 20,000円〜
利益率改善のロードマップ
利益率の改善は段階的に取り組みましょう。
| 段階 | 取り組み | 効果 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 原価計算の徹底・適正価格への値上げ | 利益率の大幅改善 |
| 第2段階 | 仕入れ先の見直し(問屋・海外) | 材料費削減 |
| 第3段階 | 制作工程の効率化 | 人件費削減 |
| 第4段階 | SNS集客・低手数料プラットフォーム活用 | 手数料削減 |
この順番で段階的に取り組むことが重要です。一朝一夕にはできませんが、継続すれば必ず結果が出ます。
次のセクションでは、プラットフォーム別の価格戦略を見ていきます。
プラットフォーム別の価格戦略
プラットフォームごとに、価格戦略を変えるのが効果的です。
minne/Creema: 定価販売・ブランド価値重視
特徴:
- ハンドメイド好きが集まる
- 作品の価値を理解してくれる
- 値引き交渉がほぼない
価格戦略:
- 定価販売
- ブランド価値を重視
- 高品質・オリジナルデザインを訴求
実例:
- ピアス: 1,800円(定価)
- 値引きなし
メルカリ: 定価の10〜20%オフ・在庫処分用
特徴:
- 安さ重視の購入者が多い
- 値引き交渉が頻繁
- 即購入が多い
価格戦略:
- 定価の10〜20%オフ
- 在庫処分・テスト販売用
- 「即購入OK」で早く売り切る
実例:
- ピアス: 1,500円(定価1,800円の17%オフ)
- 在庫処分・テスト販売に活用
Instagram/BASE: 定価・限定商品は高価格設定
特徴:
- フォロワー = ファン
- ブランドストーリーに共感
- 限定商品・新作は高単価でも売れる
価格戦略:
- 定価販売
- 限定商品は高価格設定(定価の120〜150%)
- 「Instagram限定」「フォロワー限定」で特別感
実例:
- ピアス: 1,800円(定価)
- Instagram限定デザイン: 2,500円
イベント出展: 現場割引・まとめ買い割引
特徴:
- 実物を見て購入
- 現場で買う特別感
- まとめ買いしやすい
価格戦略:
- 現場割引(10%オフ)
- まとめ買い割引(2個で5%オフ、3個で10%オフ)
実例:
- イベント限定価格: 1,620円(定価1,800円の10%オフ)
- 3個セット: 4,860円(定価5,400円の10%オフ)
プラットフォーム別価格設定の実例
| プラットフォーム | 価格 | 割引率 | 理由 |
|---|---|---|---|
| minne | 1,800円 | 定価 | ブランド価値重視 |
| Creema | 1,800円 | 定価 | 高品質訴求 |
| BASE | 1,800円 | 定価 | リピーター向け |
| 1,800円〜2,500円 | 定価〜高め | 限定デザイン | |
| メルカリ | 1,500円 | 17%オフ | 在庫処分 |
| イベント | 1,620円 | 10%オフ | 現場特典 |
次のセクションでは、PRIMA!流の原価計算シートを紹介します。
【無料テンプレート】原価計算シート
実際に使える原価計算シートを無料公開します。
シートの構成: 材料費・人件費・手数料を自動計算
シートの項目:
- 商品名
- 材料費(パーツごとに入力)
- 梱包費
- 配送費
- 制作時間(分)→ 人件費を自動計算
- 時給設定
- 手数料率(%)
- 目標利益率(%)
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- 利益・利益率を自動表示
使い方: 商品ごとにコピーして入力
- シートをダウンロード
- 商品ごとにシートをコピー
- 材料費・制作時間を入力
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シートのダウンロード(Excel・Googleスプレッドシート)
ダウンロードはこちら: 記事末のCTAから無料ダウンロードできます。
まとめ|適正価格で「選ばれる作家」になろう
ここまで、ハンドメイドの価格設定について詳しく解説してきました。
価格設定は「あなたの価値」を示すもの
価格は、単なる数字ではありません。あなたの作品の価値・あなた自身の価値を示すものです。
安売りは:
- あなたの価値を下げる
- ブランドイメージを下げる
- 継続できなくなる
適正価格は:
- あなたの価値を正しく伝える
- ブランドイメージを守る
- 継続して活動できる
安売りせず、自信を持って価格を提示しよう
「この価格で売っていいのかな?」と不安になる気持ちは、多くの作家が経験するものです。
しかし、原価計算を徹底し、適正価格を設定すれば、自信を持って価格を提示できます。
覚えておいてほしいこと:
- 安売りする必要はない
- あなたの時間には価値がある
- 適正価格で買ってくれる人がいる
価格設定で大切な考え方
価格設定で大切にしたいのは、**「価値を理解してくれる人に届ける」**ことです。
安さで勝負しない:
- 価格競争に巻き込まれない
- デザイン・品質・ストーリーで差別化
適正価格を維持:
- 原価計算を徹底
- 適正な利益率を目標
- 値上げを恐れない
透明性を大切に:
- 価格の理由を説明
- 素材・工程を公開
- 信頼を築く
適正価格を維持し、価値を理解してくれるお客様に届けることが、ブランド成長の鍵です。
あなたも、適正価格で「選ばれる作家」になりましょう。
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今すぐ実践してみよう:
- 自分の商品の原価を計算してみる
- 競合の価格を3つリサーチしてみる
- 来月から値上げを検討してみる
著者: 牧野悠(PRIMA! マーケティング・DX支援 / 株式会社AsetZ 執行役員)
一部上場金融機関出身。ハンドメイドビーズアクセサリーブランド「PRIMA!」のマーケティング・DX支援を担当。Instagram 60,000フォロワーのブランド成長に貢献。CRM自社開発による業務効率化(月次集計95%削減)を実現。現在はハンドメイド作家の事業成長支援に注力している。
最終更新: 2026年2月16日 情報の正確性: 記事内の数字は2026年2月時点の情報です。プラットフォーム手数料等は変更される可能性があるため、最新情報は各プラットフォームの公式サイトでご確認ください。
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