牧野悠
PRIMA! 共同創業者 / DX・マーケティング支援企業 執行役員
【2026年版】ハンドメイド作家の確定申告完全ガイド|いくらから必要?経費は?プロが解説
こんにちは、牧野悠です。
ハンドメイド販売を始めて売上が伸びてくると、必ず直面するのが「確定申告」の問題です。「いくらから申告が必要なの?」「何が経費になるの?」「税金はどれくらい払うことになるの?」と、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
私は、PRIMA!(プリマ)というビーズアクセサリーブランドのマーケティング・DX支援を担当しています。一部上場金融機関出身の経験を活かし、ハンドメイド作家の事業成長支援に取り組んでいます。
この記事では、ハンドメイド作家が知っておくべき確定申告のすべてを徹底解説します。副業・本業それぞれのケース、経費にできるものリスト、税金シミュレーション、e-Taxの使い方まで、この記事を読めば確定申告の不安がなくなります。
(注)本記事は2026年2月時点の税制に基づいています。税制は変更される可能性があるため、複雑なケースは税理士にご相談ください。
ハンドメイドで確定申告が必要なのはいくらから?
まず、最もよくある質問「いくらから確定申告が必要なのか?」に即答します。
【副業の場合】年間利益20万円超で確定申告が必要
会社員やパート・アルバイトをしながら、副業としてハンドメイド販売をしている場合、年間の利益が20万円を超えたら確定申告が必要です。
- 年間利益20万円以下: 確定申告は不要(ただし住民税申告は必要、後述)
- 年間利益20万円超: 確定申告が必要
ここで重要なのは、「売上」ではなく「利益」で判断する点です。
【本業の場合】年間利益48万円超で確定申告が必要
ハンドメイド販売が本業(会社員ではない)の場合、年間の利益が48万円を超えたら確定申告が必要です。
- 年間利益48万円以下: 確定申告は不要(ただし住民税申告は必要)
- 年間利益48万円超: 確定申告が必要
48万円という基準は、基礎控除48万円に由来します。利益が48万円以下であれば、基礎控除で所得がゼロになるため、所得税が発生しません。
「利益」と「売上」の違い|経費を引いた金額で判断
ここで混同しやすいのが、「売上」と「利益」の違いです。
- 売上: 商品を販売して得た金額(売上総額)
- 利益: 売上から経費を引いた金額(所得)
計算式: 利益 = 売上 - 経費
例えば、年間売上が50万円でも、経費が35万円かかっていれば、利益は15万円です。副業の場合、利益15万円は20万円以下なので、確定申告は不要です(ただし住民税申告は必要)。
初年度でよくある失敗|帳簿をつけていなかった
多くのハンドメイド作家が初年度に経験するのが、「ちゃんと帳簿をつけておけばよかった」という後悔です。売上から経費を引いた利益が20万円を超えて確定申告が必要になったとき、日々の記録がないと大変な思いをします。
【重要】20万円以下でも住民税の申告は必要
ここが最も見落とされやすいポイントです。
確定申告と住民税申告の違い
- 確定申告: 国に納める所得税の申告(国税庁)
- 住民税申告: 市区町村に納める住民税の申告(市区町村役場)
確定申告をすれば、その情報が自動的に市区町村に送られるため、住民税申告は不要です。しかし、確定申告が不要なケース(副業で利益20万円以下)でも、住民税の申告は別途必要です。
住民税の申告方法|市区町村の窓口 or 郵送
住民税の申告は、お住まいの市区町村役場で行います。
申告方法:
- 市区町村のウェブサイトから「住民税申告書」をダウンロード
- 売上・経費を記入
- 窓口に持参 or 郵送
申告期限は、確定申告と同じく2月16日〜3月15日です。
申告しなかった場合のペナルティ
住民税の申告を怠ると、以下のペナルティがあります。
- 無申告加算税: 納税額の5〜20%
- 延滞税: 年7.3〜14.6%
- 住民税が正しく計算されない: 国民健康保険料が高くなる可能性
多くの作家が見落とす住民税の罠
「利益が20万円以下だから確定申告はしなくていい」と安心していると、住民税申告も忘れてしまうケースが非常に多いです。確定申告をした場合は住民税も自動的に処理されますが、確定申告が不要なケースでは、住民税だけ別途申告が必要です。この落とし穴にはご注意ください。
開業届は出すべき?メリット・デメリット
確定申告の話をする前に、「開業届」についても触れておきます。
開業届とは?出すとどうなる?
開業届(正式名称: 個人事業の開業・廃業等届出書)は、「個人事業主として事業を始めます」と税務署に届け出る書類です。
提出期限: 事業開始から1ヶ月以内(ただし罰則はない) 提出先: 所轄の税務署 費用: 無料
開業届を出すと、「個人事業主」として認められ、以下のメリット・デメリットが発生します。
開業届のメリット(青色申告・屋号・経費の幅・社会的信用)
メリット1: 青色申告ができる
開業届を出すと、青色申告が可能になります。青色申告を選ぶと、最大65万円の特別控除が受けられ、大幅な節税ができます(詳細は後述)。
メリット2: 屋号が使える
「PRIMA!」のような屋号で銀行口座を開設でき、請求書にも屋号を記載できます。ブランドとしての信頼性が高まります。
メリット3: 経費の幅が広がる
個人事業主として認められると、家賃・光熱費の按分など、経費として認められる範囲が広がります。
メリット4: 社会的信用
金融機関からの融資、クレジットカードの事業用カード申請など、個人事業主としての信用が得られます。
開業届のデメリット(失業保険が受けられない・扶養から外れる可能性)
デメリット1: 失業保険が受けられない
開業届を出すと、「事業を営んでいる」と見なされるため、会社を退職しても失業保険(雇用保険の失業給付)を受けられません。
デメリット2: 扶養から外れる可能性
事業所得が一定額を超えると、配偶者の扶養から外れる可能性があります(税法上の扶養は年間利益48万円、社会保険の扶養は年間収入130万円が目安)。
デメリット3: 確定申告が複雑になる
青色申告を選ぶと、複式簿記での帳簿作成が必要になり、白色申告よりも手間がかかります(ただし会計ソフトを使えば簡単)。
開業届を出すタイミングの判断基準
一般的に、開業届を出すのに適したタイミングは、以下の条件がそろったときです。
判断基準:
- 月の売上が安定して伸びてきた
- 今後も事業を継続する意思がある
- 青色申告で節税したい
もし「まだ売上が安定していない」「続けられるかわからない」という場合は、開業届を急ぐ必要はありません。まずは雑所得として申告し、事業が軌道に乗ってから開業届を出すのも一つの戦略です。
開業届の出し方|5分で完了するe-Tax申請
開業届は、以下の方法で提出できます。
- 税務署に直接持参: 所轄の税務署に書類を持参
- 郵送: 税務署に郵送(控えが欲しい場合は返信用封筒を同封)
- e-Tax: オンラインで提出(マイナンバーカード必要)
最も簡単なのは、開業freeeなどの無料ツールを使って、質問に答えるだけで書類を自動生成する方法です。5分で書類が完成し、そのまま郵送 or e-Taxで提出できます。
青色申告 vs 白色申告|どっちを選ぶべき?
開業届を出したら、次に選ぶのが「青色申告」か「白色申告」です。
青色申告のメリット|最大65万円控除・赤字繰越
メリット1: 最大65万円の特別控除
青色申告を選ぶと、以下の控除が受けられます。
- 65万円控除: e-Taxで申告 + 複式簿記
- 55万円控除: 紙で申告 + 複式簿記
- 10万円控除: 簡易簿記
例えば、年間利益が200万円の場合、青色申告(65万円控除)を選ぶと、課税所得が135万円になり、所得税が約10万円節税できます。
メリット2: 赤字の繰越
青色申告では、赤字(損失)を3年間繰り越すことができます。例えば、1年目に30万円の赤字、2年目に50万円の黒字が出た場合、2年目の課税所得を20万円に減らせます。
メリット3: 家族への給与を経費にできる
青色事業専従者給与として、家族に支払った給与を経費にできます(事前申請が必要)。
青色申告のデメリット|複式簿記が必要・事前申請
デメリット1: 複式簿記が必要
青色申告(65万円控除)を受けるには、複式簿記での帳簿作成が必要です。簿記の知識がないと、手書きでは困難です。
デメリット2: 事前申請が必要
青色申告をするには、「青色申告承認申請書」を事前に税務署に提出する必要があります。
- 新規開業の場合: 開業から2ヶ月以内
- 既に事業をしている場合: 青色申告したい年の3月15日まで
申請を忘れると、その年は白色申告になります。
白色申告のメリット・デメリット
白色申告のメリット
- 簡単: 簡易な帳簿でOK、事前申請不要
- 手間が少ない: 会計ソフトなしでも対応可能
白色申告のデメリット
- 特別控除がない: 青色申告の65万円控除が受けられない
- 赤字繰越ができない: 損失を翌年以降に繰り越せない
青色申告の節税効果|試算例
青色申告を選ぶべき理由は、節税額を試算すると明らかです。
試算例(年間利益150万円の場合):
- 白色申告の場合: 所得税約7.5万円 + 住民税約15万円 = 合計22.5万円
- 青色申告の場合(65万円控除): 所得税約4万円 + 住民税約8.5万円 = 合計12.5万円
- 節税額: 10万円
年間10万円の節税ができれば、会計ソフト代(年間1万円)を払ってもお釣りがきます。
会計ソフト(freee・マネーフォワード)で青色申告は簡単
「複式簿記は難しそう」と思うかもしれませんが、会計ソフトを使えば簿記の知識がなくても大丈夫です。
おすすめ会計ソフト:
- freee: 初心者向け、質問形式で入力、スマホアプリ対応
- マネーフォワード: 経理経験者向け、仕訳入力が柔軟
- やよいの青色申告: 老舗、安価、サポート充実
どのソフトでも、銀行口座・クレジットカードと連携すれば、取引が自動で取り込まれ、仕訳も自動提案されます。月1〜2時間の作業で帳簿が完成します。
ハンドメイドで経費にできるもの完全リスト
確定申告で最も重要なのが「経費」です。正しく経費を計上することで、利益を減らし、税金を減らすことができます。
材料費・仕入れ費(レシート・領収書必須)
ハンドメイド商品の材料費は、すべて経費になります。
具体例:
- ビーズ・パーツ
- 生地・糸
- レジン・レジン液
- 接着剤・工具
- パッケージ資材
注意点: レシート・領収書を必ず保管してください。クレジットカード明細だけでは、税務調査で認められない場合があります。
梱包材・発送費
商品を発送するための梱包材・送料も経費です。
具体例:
- ダンボール・封筒
- プチプチ・緩衝材
- テープ・シール
- 送料(宅配便・レターパック・ゆうパック)
梱包材や送料は年間を通すとかなりの金額になります。特に販売数が増えると、この費用は無視できません。
販売手数料(minne・Creema・メルカリ等)
販売プラットフォームに支払う手数料も経費です。
具体例:
- minne: 販売手数料10.56%
- Creema: 販売手数料11%
- メルカリ: 販売手数料10%
プラットフォームの売上明細をダウンロードし、手数料を確認してください。
広告宣伝費(Instagram広告・名刺・チラシ)
商品を宣伝するための費用も経費です。
具体例:
- Instagram広告・Facebook広告
- 名刺・ショップカード
- チラシ・ポスター
- ウェブサイト制作費
- ドメイン・サーバー代
Instagram広告などを活用している作家も多いです。広告費は売上に直結するため、しっかり経費計上しましょう。
通信費(スマホ・ネット代の按分)
ハンドメイド販売に使うスマホ・ネット代は、按分して経費にできます。
按分の考え方:
- スマホ: ハンドメイドに50%使っている → 通信費の50%を経費計上
- ネット: ハンドメイドに30%使っている → ネット代の30%を経費計上
按分比率は、「合理的に説明できる」範囲で設定してください。100%経費にすると、税務調査で否認される可能性があります。
按分比率はスマホの利用実態に合わせて設定しましょう。
作業スペース費(家賃・光熱費の按分)
自宅で作業している場合、家賃・光熱費の一部を経費にできます。
按分の考え方:
- 家賃: 自宅50㎡のうち、作業スペース10㎡ → 家賃の20%を経費計上
- 光熱費: 作業時間が全体の30% → 光熱費の30%を経費計上
自宅の一室を作業スペースにしている場合、面積比に応じた家賃の一部を経費にできます。
減価償却費(ミシン・カメラ等の高額備品)
10万円以上の備品は、一度に経費にできず、減価償却として数年に分けて経費計上します。
具体例:
- ミシン(20万円、耐用年数5年) → 年間4万円を経費計上
- カメラ(15万円、耐用年数5年) → 年間3万円を経費計上
- パソコン(10万円以上、耐用年数4年) → 年間2.5万円を経費計上
10万円以上の機材は一括経費にならないため、耐用年数に応じて毎年少しずつ経費にします。
交通費(材料購入・イベント出展)
材料を買いに行く交通費、イベント出展の交通費も経費です。
具体例:
- 材料購入のための電車代・ガソリン代
- イベント出展の交通費・宿泊費
- 作家仲間との打ち合わせのための交通費
ガソリン代は、ハンドメイドに使った分を按分して計上します。
研修費(ハンドメイド講座・書籍)
スキルアップのための講座・書籍も経費です。
具体例:
- ハンドメイド講座の受講料
- 技法書・ビジネス書
- オンライン講座(Udemy等)
技術向上のための講座費用は、全額経費にできます。
交際費(作家仲間との打ち合わせ)
作家仲間との打ち合わせや、取引先との食事代も経費です。
具体例:
- 作家仲間とのカフェ打ち合わせ
- 取引先との食事代
- 差し入れ・お礼の品
ただし、プライベートな飲み会は経費になりません。「事業に関係がある」と説明できることが条件です。
ハンドメイド作家の経費内訳|主な項目と考え方
ハンドメイド作家の経費は、主に以下のカテゴリに分けられます。
| 費目 | 考え方 |
|---|---|
| 材料費 | 最も大きな割合を占めることが多い。レシート必須 |
| 梱包材・送料 | 販売数に比例。まとめ買いで単価削減 |
| 販売手数料 | プラットフォーム手数料(minne 10.56%等) |
| 広告宣伝費 | 売上に直結。ROI(費用対効果)を意識 |
| 通信費(按分) | 事業利用分を合理的に按分 |
| 家賃(按分) | 作業スペースの面積比で按分 |
経費の配分は事業内容によって異なりますが、材料費と広告費が大きな割合を占める傾向にあります。按分は税務調査で説明できる範囲で設定しましょう。
経費にできないもの|プライベートとの線引き
以下は経費にできません。
- プライベートな食事・旅行: 事業と無関係
- 生活費: 家族の食費・衣服代
- プライベートなスマホ通信費: 按分せず100%計上するのはNG
- 罰金・延滞税: 税務署への罰金は経費にならない
「これは経費になるか?」と迷ったら、「事業に必要か?」「合理的に説明できるか?」を自問してください。
確定申告の流れ|e-Taxで自宅から完結
確定申告の具体的な流れを説明します。
必要書類の準備(レシート・領収書・売上記録)
確定申告に必要な書類は以下の通りです。
売上関連:
- 販売プラットフォームの売上明細(minne・Creema・メルカリ等)
- 銀行振込の記録
- 現金売上の記録(イベント出展等)
経費関連:
- レシート・領収書
- クレジットカード明細
- 銀行振込の記録
その他:
- マイナンバーカード or 通知カード
- 本人確認書類(運転免許証等)
- 銀行口座情報(還付金受取用)
レシートをすべてスマホで撮影し、クラウドストレージに保存するのがおすすめです。紙のレシートは7年間保管が必要です。
会計ソフトで帳簿作成(freeeの画面で解説)
会計ソフトで帳簿を作成します。freeeの場合、以下の流れです。
- 銀行口座・クレジットカードを連携: 取引が自動で取り込まれる
- 取引を仕訳: 「材料費」「送料」など、勘定科目を選ぶ
- 売上を登録: minne・Creemaの売上明細を入力
- 経費を登録: レシートをスマホで撮影してアップロード
- 確定申告書を自動生成: 質問に答えるだけで書類完成
freeeは、「これは何の取引ですか?」と質問形式で聞いてくれるので、簿記の知識がなくても大丈夫です。
e-Taxで確定申告書を作成・提出
e-Taxを使えば、自宅から確定申告が完結します。
e-Taxの流れ:
- マイナンバーカードを用意: ICカードリーダー or スマホ
- e-Taxサイトにログイン: 国税庁のウェブサイト
- 確定申告書を作成: freee等から取り込み or 手入力
- 提出: マイナンバーカードで電子署名して送信
- 完了: 受付番号が発行される
郵送や税務署への持参よりも、e-Taxの方が早く、還付金も早く受け取れます。
還付金の受け取り or 納税
確定申告後、以下のいずれかが発生します。
- 還付金: 源泉徴収された税金が戻ってくる(副業の場合に多い)
- 納税: 追加で税金を支払う(本業の場合に多い)
還付金は、申告から1〜2ヶ月後に銀行口座に振り込まれます。納税の場合、振替納税を選べば、口座から自動引き落としされます。
初めての確定申告でよくある失敗
多くのハンドメイド作家が、初めての確定申告で以下のような失敗を経験しています。
よくある失敗例:
- レシートを一部紛失していた(スマホで撮影していなかった)
- 売上の記録が不完全だった(プラットフォームの明細を見落としていた)
- 住民税の申告を忘れていた
毎月1回帳簿をつける習慣をつければ、確定申告の作業時間は大幅に短縮できます。
【ケーススタディ】売上別の税金シミュレーション
「税金はどれくらい払うことになるの?」という不安を解消するため、具体的なシミュレーションをします。
ケース1: 副業・売上30万円・経費10万円 → 税金約2万円
- 売上: 30万円
- 経費: 10万円
- 利益: 20万円
- 基礎控除: 48万円
- 課税所得: 0円(利益20万円 < 基礎控除48万円)
- 所得税: 0円
- 住民税: 約2万円(利益20万円 × 10%)
利益20万円は確定申告のボーダーラインですが、所得税はゼロ、住民税のみ約2万円です。
ケース2: 副業・売上100万円・経費40万円 → 税金約12万円
- 売上: 100万円
- 経費: 40万円
- 利益: 60万円
- 基礎控除: 48万円
- 課税所得: 12万円
- 所得税: 約6千円(12万円 × 5%)
- 住民税: 約1.2万円(12万円 × 10%)
- 合計: 約1.8万円
※ただし、副業の場合、給与所得と合算されるため、給与の税率によって実際の税額は変わります。上記は簡易計算です。
ケース3: 本業・売上300万円・経費100万円 → 税金約40万円(青色申告)
- 売上: 300万円
- 経費: 100万円
- 利益: 200万円
- 青色申告特別控除: 65万円
- 基礎控除: 48万円
- 課税所得: 87万円(200万円 - 65万円 - 48万円)
- 所得税: 約4万円(87万円 × 5%)
- 住民税: 約8.7万円(87万円 × 10%)
- 国民健康保険: 約15万円(所得に応じて変動)
- 国民年金: 約20万円(定額)
- 合計: 約47.7万円
青色申告の65万円控除がないと、所得税・住民税がさらに約10万円増えます。
ケース4: 本業・売上500万円・経費150万円 → 税金約70万円(青色申告)
- 売上: 500万円
- 経費: 150万円
- 利益: 350万円
- 青色申告特別控除: 65万円
- 基礎控除: 48万円
- 課税所得: 237万円(350万円 - 65万円 - 48万円)
- 所得税: 約14万円(237万円 × 10% - 9.75万円)
- 住民税: 約23.7万円(237万円 × 10%)
- 国民健康保険: 約25万円
- 国民年金: 約20万円
- 合計: 約82.7万円
利益が350万円の場合、税金・社会保険料で約80万円です。
成長に伴う税金の変化
事業が成長すると税金も増えますが、青色申告の65万円控除で節税効果を得られます。上記のシミュレーションを参考に、自分の事業規模に合わせた税金の見込みを立てておきましょう。
よくある確定申告の失敗と対策
多くのハンドメイド作家が経験する失敗と、その対策を共有します。
失敗1: レシートを捨ててしまった → 対策: すぐにスマホで撮影・アプリ保存
初年度に材料費のレシートを一部捨ててしまい、経費計上できなかったという作家は多いです。
対策:
- レシートをもらったら、すぐにスマホで撮影
- レシート管理アプリ(Receipo・Dr.Wallet)に保存
- 紙のレシートも7年間保管
すべてのレシートをスマホで撮影し、クラウドストレージに保存する習慣をつけましょう。
失敗2: 売上を記録していなかった → 対策: 販売プラットフォームの履歴をCSV出力
イベント出展での現金売上を記録しておらず、売上が不明になるケースも多く見られます。
対策:
- 販売プラットフォーム(minne・Creema)の売上明細をCSV出力
- イベント出展の売上は、その日のうちにスプレッドシートに記録
- 月1回、売上を集計する習慣をつける
失敗3: 経費とプライベートを混同 → 対策: ハンドメイド専用の銀行口座・クレカ作成
プライベートとハンドメイドの支出が混ざっていると、経費の仕分けが大変です。
対策:
- ハンドメイド専用の銀行口座を開設
- ハンドメイド専用のクレジットカードを作成
- プライベートと完全に分ける
ハンドメイド専用の銀行口座を開設し、すべての売上・経費をそこで管理するのがベストです。
失敗4: 申告期限を過ぎた → 対策: ペナルティと期限後申告の方法
申告期限(3月15日)を過ぎると、以下のペナルティがあります。
- 無申告加算税: 納税額の15〜20%
- 延滞税: 年7.3〜14.6%
対策:
- 期限を過ぎても、できるだけ早く申告する(ペナルティは軽減される)
- 会計ソフトで毎月帳簿をつけておく
- カレンダーに申告期限を登録
住民税申告忘れのリスク
住民税の申告を忘れていると、市区町村から「住民税の申告をしてください」という通知が届くことがあります。早めに申告すればペナルティを避けられますが、放置すると加算税が課される場合もあります。
「確定申告をすれば住民税も自動的に処理される」と思い込みがちですが、副業で利益が20万円以下の場合は別途申告が必要です。
確定申告を楽にする3つのツール
確定申告を楽にするツールを紹介します。
ツール1: 会計ソフト(freee・マネーフォワード・やよい)|比較と選び方
会計ソフトの比較表です。
| ソフト | 初心者向け | 価格 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| freee | ★★★★★ | 年1.2万円〜 | 質問形式で入力、スマホアプリ対応、初心者に最適 |
| マネーフォワード | ★★★☆☆ | 年1万円〜 | 仕訳の柔軟性が高い、経理経験者向け |
| やよいの青色申告 | ★★★★☆ | 年8千円〜 | 老舗、安価、サポート充実 |
選び方のポイント: 簿記の知識がない方は、質問形式で入力できるfreeeがおすすめです。経理経験がある方は、仕訳の柔軟性が高いマネーフォワードも選択肢になります。
ツール2: レシート管理アプリ(Receipo・Dr.Wallet)
レシートをスマホで撮影し、自動でデータ化してくれるアプリです。
- Receipo: 無料、自動仕訳機能
- Dr.Wallet: オペレーターが手入力、精度が高い
クラウドストレージに保存する方法もありますが、専用アプリを使うと自動仕訳ができて便利です。
ツール3: 売上管理スプレッドシート
実際に使える売上管理スプレッドシートのテンプレートを無料公開しています。
含まれる内容:
- 日別売上記録
- 経費記録
- 利益計算
- 月次集計
このスプレッドシートに毎月入力するだけで、確定申告の準備が完了します。
おすすめの確定申告環境
効率的な確定申告のためには、以下のような環境を整えるのがおすすめです。
- 会計ソフト: freee・マネーフォワード・やよいのいずれか(月1回、取引を仕訳)
- 売上管理: Googleスプレッドシート(日次で売上記録)
- レシート保管: クラウドストレージ(撮影してすぐアップロード)
この環境を整えれば、確定申告の準備は年間10〜15時間で完了できます。
税務調査が来たらどうする?
「税務調査」と聞くと不安になるかもしれませんが、正しく申告していれば怖くありません。
ハンドメイド作家に税務調査が来る確率
税務調査は、すべての事業者に来るわけではありません。
税務調査が来やすいケース:
- 売上が急増した
- 経費率が異常に高い(売上の80%以上など)
- 無申告・過少申告の疑いがある
目安: 年間売上1,000万円未満の個人事業主に税務調査が来る確率は、数%程度と言われています。
正しく申告していれば、過度に心配する必要はありません。
税務調査で見られるポイント(売上漏れ・経費の妥当性)
税務調査では、以下がチェックされます。
- 売上漏れ: 銀行口座の入金と売上が一致しているか
- 経費の妥当性: プライベートな支出を経費にしていないか
- 帳簿の整合性: 売上・経費の記録が正確か
日頃からできる対策(帳簿の整理・証拠書類の保管)
税務調査に備えて、日頃から以下を実践してください。
- 帳簿を毎月つける: 1年分をまとめてやらない
- レシート・領収書を保管: 7年間保管が義務
- 銀行口座を分ける: プライベートとハンドメイドを分離
- 合理的な按分: 通信費・家賃の按分は説明できる範囲で
もし来てしまったら?対応方法と相談先
税務調査の通知が来たら、以下のように対応してください。
- 慌てない: 正しく申告していれば問題ない
- 税理士に相談: 複雑なケースは税理士に立ち会いを依頼
- 書類を準備: 帳簿・レシート・領収書を整理
- 誠実に対応: 隠さず、正直に説明
もし申告漏れが見つかった場合、修正申告をすることになります。悪質でない限り、追徴課税のみで済みます。
扶養内で働きたい場合の注意点
主婦・主夫の方からよく質問されるのが「扶養内で働きたい」という点です。
扶養の種類(税法上の扶養・社会保険の扶養)
扶養には2種類あります。
税法上の扶養
- 年収103万円の壁: 配偶者の扶養に入れる上限
- 年収150万円の壁: 配偶者特別控除が満額受けられる上限
社会保険の扶養
- 年収130万円の壁: 配偶者の社会保険の扶養に入れる上限
ハンドメイドの「年収」は利益で判断
ハンドメイドの場合、「年収」は「売上」ではなく「利益」で判断します。
例:
- 売上150万円、経費50万円 → 利益100万円
- 利益100万円 < 103万円 → 扶養内
売上が150万円でも、経費を引いた利益が103万円以下であれば、扶養に入れます。
扶養を外れるタイミングの判断基準
扶養を外れるかどうかは、以下で判断してください。
税法上の扶養を外れる場合:
- 配偶者控除がなくなる → 配偶者の税金が年間数万円増える
- 自分の所得税・住民税が発生 → 年間数万円
社会保険の扶養を外れる場合:
- 国民健康保険・国民年金に加入 → 年間30〜40万円
扶養を外れることで、年間30〜50万円の負担が増えます。しかし、利益が150万円を超えていれば、手取りは増えます。
まとめ|確定申告は怖くない、準備が9割
ここまで、ハンドメイド作家の確定申告について解説してきました。
日頃からレシート・売上を記録すれば確定申告は簡単
確定申告が大変なのは、「1年分をまとめてやる」からです。日頃からレシート・売上を記録していれば、確定申告はそれほど手間ではありません。
おすすめの習慣:
- レシートはすぐにスマホで撮影
- 売上は毎日スプレッドシートに記録
- 月1回、会計ソフトで帳簿をつける
この習慣をつければ、確定申告は年間3〜5時間で完了します。
税理士に相談するタイミング
一般的に、年商が数百万円を超えてきたら、税理士への相談を検討するのがおすすめです。
税理士に相談すべきタイミング:
- 年商が数百万円を超えた
- 法人化を検討している
- 複雑な取引が増えた(外注・仕入れ等)
税理士への依頼費用は年間10〜30万円ですが、節税効果や時間の節約を考えると、投資する価値があります。
正しく申告して、安心してハンドメイドを楽しもう
確定申告は、面倒に感じるかもしれませんが、正しく申告することで、安心してハンドメイドを楽しめます。
- 税務調査が来ても堂々と対応できる
- 経費を正しく計上して節税できる
- 事業の数字を把握して、成長戦略を立てられる
この記事が、あなたの確定申告の不安を解消する助けになれば嬉しいです。
よくある質問(FAQ)
Q1: 確定申告をしなかったらバレますか?
A: バレる可能性が高いです。販売プラットフォーム(minne・Creema等)は、税務署に取引情報を提出しています。また、銀行口座の入金記録も税務署は確認できます。無申告が発覚すると、ペナルティ(無申告加算税・延滞税)が課されます。
Q2: 経費のレシートを紛失しました。どうすればいいですか?
A: レシートがない場合、経費として認められない可能性があります。ただし、クレジットカード明細や銀行振込の記録があれば、一部認められる場合もあります。今後は、レシートをすぐにスマホで撮影する習慣をつけてください。
Q3: 売上が20万円以下なので確定申告不要ですが、住民税はどうすればいいですか?
A: 住民税の申告は必要です。お住まいの市区町村役場で「住民税申告書」を提出してください。申告期限は確定申告と同じく2月16日〜3月15日です。
Q4: 開業届を出すタイミングはいつがいいですか?
A: 目安は「売上が安定して継続している」と感じたタイミングです。事業として継続する見込みがあり、青色申告で節税したい場合に開業届を出してください。ただし、失業保険を受ける予定がある場合は、開業届を出すタイミングに注意してください。
Q5: 会計ソフトは必要ですか?手書きではダメですか?
A: 白色申告であれば手書きでも可能ですが、青色申告(65万円控除)は複式簿記が必要なため、会計ソフトを使うことを強く推奨します。freee・マネーフォワード・やよいなら、月1,000円程度で使えます。
Q6: 税理士に依頼すると費用はいくらですか?
A: 年商500万円以下の個人事業主の場合、確定申告の依頼費用は年間10〜20万円が相場です。年商が増えると費用も上がります。顧問契約(毎月相談できる)の場合、月3〜5万円が相場です。
次のステップ: 確定申告の準備を始めよう
この記事で、確定申告の基本を理解していただけたと思います。次のステップは、実際に準備を始めることです。
おすすめの次のアクション:
- 会計ソフトに登録: freee・マネーフォワード・やよいのいずれかに登録
- ハンドメイド専用口座を開設: 楽天銀行・住信SBIネット銀行など
- レシートを撮影する習慣: 今日からレシートをスマホで撮影
- 売上管理スプレッドシートをダウンロード: CraftPathのテンプレートを無料配布中
- 原価計算を見直す: 利益を正確に把握 → 原価計算ガイド
また、CraftPathでは「経費管理スプレッドシート(Excel)」と「確定申告チェックリスト(PDF)」を無料配布中です。これを使えば、確定申告の準備がスムーズに進みます。
この記事があなたの確定申告の不安を解消する助けになれば嬉しいです。
正しく申告して、安心してハンドメイドを楽しんでください。
著者: 牧野悠(PRIMA! マーケティング・DX支援 / 株式会社AsetZ 執行役員)
一部上場金融機関出身。ハンドメイドビーズアクセサリーブランド「PRIMA!」のマーケティング・DX支援を担当。Instagram 60,000フォロワーのブランド成長に貢献。CRM自社開発による業務効率化(月次集計95%削減)を実現。現在はハンドメイド作家の事業成長支援に注力している。
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