コロナ禍の自宅で、ビーズに出会った
2020年。世界中が外出を控えていたあの頃、SHIZUKIさんは自宅で新しいことを始めようとしていた。
「もともと何かを作ることは好きだったんです。コロナで家にいる時間が増えて、以前から気になっていたビーズアクセサリーをやってみようと思いました」
最初は自分用に、次に友人へのプレゼントとして。一つ、また一つと作品を重ねるうちに、周囲から「これ、売ってほしい」という声が上がるようになった。その言葉に背中を押されて、Creemaにアカウントを開設。PRIMA!というブランド名を掲げて、販売の第一歩を踏み出した。
1年間、ほとんど売れなかった
ところが、現実は甘くなかった。
Creemaに出品しても、閲覧数はほとんど伸びない。いいねがついても、購入にはつながらない。そんな日々が、1年近く続いた。
「正直、何度もやめようかと思いました。でも、作ること自体が好きだったんですよね。売れなくても、新しいデザインを考えて、形にしていく作業は楽しかった。だから続けられたんだと思います」
振り返ってみれば、この「売れない1年間」は無駄ではなかった。技術は確実に磨かれ、自分のスタイルが少しずつ確立されていった。特に、PRIMA!の代名詞となる蛇ブレスレットや独自の編み技術は、この時期に生まれたものだ。
Instagramの一本の動画が、すべてを変えた
転機は、何気ない投稿から始まった。
ある日、蛇ブレスレットの制作過程をInstagramに動画で投稿した。特別な狙いがあったわけではない。ただ、「作っている様子を見せたら面白いかな」くらいの気持ちだった。
その動画がバズった。
一晩でフォロワーが急増し、DMには「どこで買えますか?」というメッセージが次々と届いた。Creemaでは起きなかった反応が、SNSでは爆発的に起きたのだ。
「完成品の写真だけだと、どうしても他の作品と比べられてしまう。でも、作っている過程を見てもらうと、『この人の作品が欲しい』に変わるんだなって。そこに気づけたのが大きかったです」
SHIZUKIさんはこの経験から、「何を売るか」だけでなく「どう見せるか」の重要性を痛感した。これはハンドメイド作家にとって、非常に大きな気づきだろう。
BASEへの移行、そして加速するブランド成長
Instagramでの反響を受けて、SHIZUKIさんはBASEに移行した。
「Creemaだとプラットフォーム内での競争になってしまう。でも自分のショップなら、SNSから直接来てくれたお客様にブランドの世界観をそのまま届けられる。それが決め手でした」
BASE移行後、注文が途切れなくなった。SNSで興味を持った人がそのまま購入に至るという、シンプルだけど強力な導線ができあがったのだ。
その後、Shopifyへの移行や自社EC(shop.prima-beads.com)の開設を経て、PRIMA!はさらに本格的なD2Cブランドへと進化していく。現在はInstagramのフォロワーが60,000人を超え、YouTubeでの発信も行っている。
チームで進む、新たなステージ
法人化を経て、PRIMA!は一人で全てを担う体制から、チームで進む体制へと移行した。マーケティング・DX支援を担当するHARUKAや外注パートナーと連携し、制作・発送・SNS運用などを分担しながらブランドを運営している。
「一人だった頃と比べて、できることの幅が圧倒的に広がりました。自分は制作とブランドの世界観づくりに集中して、それ以外の部分はチームに任せられるようになったのが大きいです」
価格設定にも長い試行錯誤があった。最初は安すぎる価格で、材料費と制作時間を考えるとほぼ利益が出ない状態だった。「価値に見合った価格」にたどり着くまでに、何度も見直しを重ねたという。
集客に関しては、Instagramでの制作過程の動画投稿が軸。「完成品だけでなく、作る過程を見せることで、ハンドメイドだからこその価値を感じてもらえる」という確信は、あのバズの経験から得たものだ。
これからの目標——ブランドの世界観をもっと広く
SHIZUKIさんの次なる目標は、PRIMA!の世界観をより多くの人に届けること。
「オンラインだけでなく、リアルな場でもPRIMA!を体験してもらいたい。ポップアップイベントやワークショップも定期的に開催して、お客様と直接つながれる場を増やしていきたいです」
ブランドとファンの距離をさらに近づけていく。それがSHIZUKIさんの描くPRIMA!の未来だ。
これからハンドメイドを始める人へ
最後に、これからハンドメイドで活動を始めたい人へのメッセージを聞いた。
「最初は『自分の作品なんて売れるのかな』と不安になると思います。でも、まず一つ出品してみてください。売れなくても大丈夫です。私もCreemaで1年間、ほぼ売れませんでした。でも続けていたから、チャンスが来た時にそれをつかめたんです」
1年間売れなくても、続けてよかった——SHIZUKIさんのこの言葉は、今まさに壁にぶつかっている作家にとって、大きな励みになるのではないだろうか。
「あなたの『好き』は、きっと誰かに届きます。だから、焦らなくていい。自分のペースで、楽しみながら続けてほしいです」
