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ハンドメイド月商30万円を超えたら考えるべき5つのこと|次のステージへの準備

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牧野悠

牧野悠

PRIMA! マーケティング・DX支援 / 株式会社AsetZ 執行役員

ハンドメイド月商30万円を超えたら考えるべき5つのこと|次のステージへの準備

著者: 牧野悠(PRIMA! マーケティング・DX支援 / 株式会社AsetZ 執行役員)

「月商30万円を超えた。でも、このままのやり方で大丈夫なのだろうか?」

ハンドメイド事業が成長し、月商30万円を安定して超えるようになると、「次にどうすべきか」という課題に直面する方が多くいます。

私は、PRIMA!(ビーズアクセサリーブランド)のマーケティング・DX支援を担当しています。多くのハンドメイド作家と関わる中で、月商30万円を超えたあたりから「個人の延長」としてのやり方に限界が来るケースを数多く見てきました。税金対策、生産体制、ブランド戦略、経営管理など、「趣味の延長」では対応しきれない課題が次々に出てくるのです。

この記事では、月商30万円を超えたハンドメイド作家が「次のステージ」に進むために考えるべき5つのことを解説します。


月商30万円は「趣味」と「事業」の分岐点

なぜ30万円が分岐点なのか?

月商30万円(年商360万円)は、ハンドメイド事業において重要な分岐点です。

月商30万円の意味:

  • 年商で360万円。経費を差し引いても、生活の一部を支えられる規模
  • 月に100〜300個程度の商品を販売(単価による)
  • 1日あたり3〜10件の注文が入る
  • 材料の仕入れ、梱包、発送、お客様対応が日常業務になる

この規模になると、「空いた時間にちょっと作って売る」というスタイルでは回らなくなります。仕入れの管理、在庫の把握、帳簿の記録、SNSの更新、お客様対応......やるべきことが一気に増え、「このままの方法では続けられない」と感じ始めるのです。

月商30万円で直面する3つの壁

壁1: 時間の壁 制作・発送・顧客対応で1日の時間が足りなくなる。新しいデザインを考える時間がなくなり、既存商品の繰り返し作業ばかりになる。

壁2: お金の壁 売上は増えているが、税金・社会保険料の負担も増える。材料の仕入れ資金が大きくなり、資金繰りに気を使うようになる。

壁3: 組織の壁 一人では限界に達する。外注や家族の手伝いが必要になるが、任せ方が分からない。

多くのハンドメイド作家がこの3つの壁に直面します。その壁をどう乗り越えるか、5つのポイントに分けて解説します。


1. 税金対策|青色申告の最大活用と消費税の検討

月商30万円を超えると、税金の影響が無視できなくなります。「稼いだのに、手元にお金が残らない」とならないよう、税金対策を見直しましょう。

青色申告の65万円控除を確実に活用する

月商30万円(年商360万円)の場合、経費を差し引いた年間利益は150〜250万円程度になることが多いです。この利益に対して、青色申告の65万円控除は非常に大きな節税効果を発揮します。

例: 年間利益200万円の場合

項目 白色申告 青色申告(65万円控除)
課税所得 152万円(200万円-基礎控除48万円) 87万円(200万円-65万円-48万円)
所得税 約7.6万円 約4.4万円
住民税 約15.2万円 約8.7万円
合計 約22.8万円 約13.1万円
差額 約9.7万円の節税

年間約10万円の節税。5年で50万円。これだけの金額を、「青色申告」という仕組みを使うだけで節約できます。

青色申告65万円控除の条件:

  • 開業届を提出済み
  • 青色申告承認申請書を提出済み
  • 複式簿記で帳簿を作成
  • e-Tax(電子申告)で確定申告

まだ開業届を出していない方は、ハンドメイド作家の開業届ガイドを参考にしてください。

経費の漏れがないか徹底チェック

月商30万円規模になると、経費の金額も大きくなります。「これは経費にできる」と知っているだけで、年間数万円〜十数万円の節税につながります。

見落とされがちな経費:

  • 自宅の家賃・光熱費の按分(作業スペース分)
  • スマホ・ネット回線の按分(事業利用分)
  • 撮影機材の減価償却費
  • Instagramの有料ツール(分析ツール等)
  • 作家イベントの出展料・交通費
  • ハンドメイド関連の書籍・講座
  • 梱包用のプリンターのインク代
  • ショップカード・名刺の印刷代

経費の漏れがあると、利益が実際より大きく計算され、余分な税金を払うことになります。月に一度、経費の棚卸しをする習慣をつけましょう。

→ 経費の詳細は、確定申告完全ガイドで解説しています。

消費税の基本を理解しておく

月商30万円(年商360万円)の段階では、まだ消費税の課税事業者にはなりません。消費税の課税事業者になるのは、前々年の課税売上高が1,000万円を超えた場合です。

しかし、インボイス制度が始まった現在、取引先から「適格請求書(インボイス)を発行してほしい」と求められるケースがあります。

インボイス登録のメリット:

  • 法人取引がスムーズになる
  • 卸売先から選ばれやすくなる

インボイス登録のデメリット:

  • 消費税の申告・納付が必要になる
  • 事務負担が増える

月商30万円の段階では、BtoCのハンドメイド販売がメインであれば、インボイス登録を急ぐ必要はありません。ただし、将来的にBtoB取引が増える見込みがあるなら、早めに検討しておきましょう。

税理士への相談を検討する

月商30万円を超えたら、税理士への相談を検討するタイミングです。

税理士に相談すべきサイン:

  • 確定申告に毎年数日かかっている
  • 経費の按分に自信がない
  • 消費税やインボイスの判断が分からない
  • 法人化のタイミングを知りたい

税理士への相談費用は年間10〜30万円ですが、正しい節税対策でそれ以上のメリットが得られることが多いです。税理士に相談することで節税のポイントを教えてもらい、結果的に相談費用以上の効果が得られたという作家も少なくありません。


2. 生産体制の見直し|外注・効率化で時間を作る

月商30万円を超えると、一人での制作に限界が来ます。「自分が作れる量」がビジネスの天井になってしまうのです。

一人の限界を知る

月商30万円の制作量の目安:

  • 単価3,000円の場合: 月100個
  • 単価2,000円の場合: 月150個
  • 単価1,500円の場合: 月200個

例えば月150個を制作する場合、1個あたり30分かかるとして、月75時間。1日あたり約2.5時間を制作だけに費やします。これに梱包・発送(1個10分として月25時間)、SNS更新、お客様対応、仕入れ、帳簿付けを加えると、1日の作業時間は4〜5時間になります。

副業でやっている場合、これはほぼ限界です。本業でやっている場合も、新しいデザインを考えたり、事業戦略を練る時間がなくなります。

外注を始めるタイミングと方法

制作の一部を外注することで、あなたの時間を「作業」から「経営」に振り向けられます。

外注すべき作業:

  • 単純作業(パーツの仕分け、梱包)
  • 繰り返し作業(定番商品の制作)
  • 発送作業

外注すべきでない作業(自分でやる):

  • デザイン・新作の開発
  • SNSマーケティング
  • お客様対応
  • 品質管理

外注先の見つけ方:

  • 家族・知人への依頼
  • ランサーズ・クラウドワークスで制作スタッフを募集
  • ハンドメイド作家コミュニティで仲間を見つける
  • パート・アルバイトの雇用

実際に、事業が成長してきた段階で一部の作業を外注に切り替えた作家は多くいます。最初は「自分でやった方が早い」と思いがちですが、任せることで新しいデザインを考える時間が生まれ、結果的に売上がさらに伸びるケースは珍しくありません。

制作工程を効率化する

外注だけでなく、自分自身の制作工程も効率化しましょう。

効率化のポイント:

1. まとめ作業(バッチ処理) 同じ工程をまとめて行います。例えば、「ビーズを通す」作業を10個分まとめて行い、「金具をつける」作業を10個分まとめて行う。工程の切り替え時間が減り、効率が上がります。

2. 治具・テンプレートの活用 同じ長さに糸を切る、同じ位置にパーツを配置する、といった作業をテンプレート化します。手作業の精度が上がり、制作時間も短縮されます。

3. 材料のキット化 商品ごとに必要な材料をあらかじめキットにしておきます。制作を始める前の「材料を集める」時間が削減されます。

4. 在庫管理の仕組み化 在庫管理を手書きからExcelやアプリに移行し、在庫状況をリアルタイムで把握できるようにします。

→ 在庫管理の詳細は、ハンドメイドの在庫管理ガイドをご覧ください。


3. ブランド強化|価格帯アップと自社ECの構築

月商30万円を超えたら、「数を売る」だけでなく「ブランドの価値を高める」フェーズに入ります。

安売りからの脱却

月商30万円を達成した方の中には、「たくさん売ることで売上を伸ばした」という方も多いでしょう。しかし、数を売るアプローチには限界があります。

数を売るアプローチの問題:

  • 制作・発送の作業量が膨大になる
  • 単価が低いと利益率も低い
  • 時給換算で割に合わない
  • 心身の疲労

ブランド強化のアプローチ:

  • 商品の品質・デザインを向上させる
  • 単価を上げる(値上げ)
  • 限定商品・オーダーメイドを導入する
  • ブランドストーリーを強化する

実際に、多くの成功しているハンドメイド作家が「数を売る」から「価値を売る」に方針を転換しています。値上げに対して「お客様が離れるのでは」と不安に感じるものですが、実際にはブランドの価値を理解してくれるお客様がしっかりついてくるケースが多いです。

→ 価格設定の見直しは、原価計算・価格設定ガイドを参考にしてください。

価格帯を見直す3つのアクション

アクション1: 原価計算を再度徹底する 月商30万円を超えた段階で、改めて全商品の原価計算をやり直しましょう。材料費の仕入れ価格は変わっていないか?人件費(自分の時給)は適正か?利益率は目標を達成しているか?

アクション2: 値上げを実行する 月商30万円を安定して達成しているなら、あなたの商品には十分な需要があります。10〜20%の値上げを検討しましょう。

値上げの例:

  • 1,500円 → 1,800円(20%アップ)
  • 2,000円 → 2,300円(15%アップ)
  • 3,000円 → 3,500円(17%アップ)

アクション3: 高単価商品ラインを追加する 既存の商品に加えて、高単価の商品ラインを導入します。

  • オーダーメイド: 5,000〜10,000円
  • 限定デザイン: 通常価格の130〜150%
  • セット商品: ピアス+ネックレスのセットで8,000円

高単価商品は販売数が少なくても、利益への貢献が大きいです。

自社ECサイトの構築を検討する

月商30万円を超えたら、minne・Creemaなどのプラットフォーム以外に、自社ECサイトの構築を検討するタイミングです。

自社ECのメリット:

  • 販売手数料が大幅に下がる(minne 10.56% → 自社EC 3〜4%程度)
  • お客様の購買データを蓄積できる
  • ブランドの世界観を自由に表現できる
  • リピーター施策(メルマガ・LINE等)を実施しやすい

自社ECのデメリット:

  • 集客を自分で行う必要がある(SNS・SEO等)
  • 構築・運営にコストと手間がかかる
  • 初期は売上が少ない

おすすめの自社ECサービス:

  • BASE: 初期費用無料、手数料6.6%+40円、簡単に開設
  • STORES: 初期費用無料、手数料5%(有料プランで3.6%)
  • Shopify: 月額3,650円〜、手数料3.25〜3.55%、高機能

推奨する進め方:

  1. まずはminne・Creemaで集客を続ける(新規顧客獲得)
  2. 並行してBASE or STORESで自社ECを開設
  3. InstagramのフォロワーをSNS経由で自社ECに誘導
  4. リピーターは自社ECに誘導して手数料を削減

PRIMA!もCreemaでの販売を経て、SNSのバズをきっかけにBASEで自社ECを構築しました。リピーターのお客様を自社ECに誘導することで、手数料の差額を抑えることが可能になります。

→ SNS集客の詳しい方法は、Instagram集客ガイドをご覧ください。


4. 経営管理の仕組み化|帳簿・在庫・顧客管理

月商30万円を超えると、「なんとなく」の管理では限界が来ます。経営管理を「仕組み」にすることで、事業の安定性が格段に上がります。

帳簿管理の習慣化

「月末にまとめて帳簿をつける」というやり方は、月商30万円規模では破綻します。

おすすめの帳簿管理ルーティン:

  • 毎日: 売上の記録(スプレッドシートに入力)
  • 週1回: レシートの整理・会計ソフトへの入力(30分)
  • 月1回: 月次決算(売上・経費・利益の確認)(1時間)
  • 四半期ごと: 事業の振り返り・戦略の見直し

おすすめの会計ソフト:

  • freee(初心者向け、自動仕訳が便利)
  • マネーフォワード(多機能、銀行連携が優秀)

月商30万円規模なら、会計ソフトの有料プラン(月1,000〜3,000円)に投資する価値は十分あります。

在庫管理の仕組み化

月に100〜200個の商品を販売していると、在庫の管理が欠かせません。

管理すべき在庫:

  • 完成品の在庫: 何の商品が何個あるか
  • 材料の在庫: ビーズ・パーツ・金具等の残数
  • 梱包材の在庫: 箱・袋・緩衝材の残数

在庫管理の仕組み:

  1. 商品リストを作成(商品名・SKU・在庫数)
  2. 販売するたびに在庫を更新
  3. 週1回、在庫の棚卸し
  4. 在庫が少なくなったら発注(発注点を決めておく)

便利なツール:

  • Googleスプレッドシート(無料、複数端末で共有可能)
  • STORES在庫管理(STORESユーザーなら連動)
  • 専用在庫管理アプリ

在庫管理を仕組み化することで、「人気商品の欠品」と「不良在庫の山」の両方を解消できるようになります。

→ 在庫管理の詳細は、在庫管理ガイドをご覧ください。

顧客管理を始める

月商30万円規模になると、リピーターのお客様が増えてきます。顧客管理を始めることで、リピート率を高め、売上を安定させましょう。

管理すべき顧客情報:

  • 購入履歴(いつ、何を、いくらで購入したか)
  • 連絡先(LINE・メールアドレス)
  • 好みの傾向(色・デザイン・価格帯)
  • 特記事項(誕生日、アレルギー情報等)

顧客管理の活用方法:

  • リピーターへの新作案内
  • 誕生日クーポンの送付
  • 購入頻度に応じた特典の提供
  • 人気商品の傾向分析

最初はスプレッドシートで十分です。顧客数が増えてきたら、LINE公式アカウントやCRMツールの導入を検討しましょう。

月次で数字を振り返る習慣をつける

月商30万円を超えたら、月に一度は「事業の数字」を振り返りましょう。

月次で確認すべき数字:

指標 確認ポイント
売上 前月比、前年同月比
経費 材料費率、経費率
利益 目標利益率を達成しているか
販売数 商品別の販売数、トレンド
客単価 平均客単価の推移
リピート率 リピーターの割合

数字を見る習慣をつけることで、「なんとなく忙しいけど、利益が出ているか分からない」という状態から脱却できます。

月次で数字を振り返る習慣をつけることで、「どの商品が利益を生んでいるか」「どのチャネルが効率的か」が明確になり、戦略的な意思決定ができるようになります。


5. 次のステージの準備|法人化の検討

月商30万円を安定して超え、さらに成長が見込まれるなら、法人化を視野に入れ始めるタイミングです。

法人化を検討すべきサイン

月商30万円の段階ですぐに法人化する必要はありません。ただし、以下のサインが出たら、法人化の検討を始めましょう。

  • 年間の課税所得が600万円を超えそう
  • 取引先から法人格を求められることがある
  • 従業員やパートを雇う予定がある
  • ブランドとしての信用力をさらに高めたい
  • 事業を長期的に続ける確固たる意思がある

法人化前にやっておくべきこと

法人化はすぐにはできません。準備に2〜3ヶ月かかるため、今のうちから以下を始めておきましょう。

1. 帳簿を整備する 法人化すると、個人事業主時代より厳密な会計処理が求められます。今のうちから会計ソフトで帳簿をつけ、正確な損益を把握しておきましょう。

2. 事業用口座を完全に分離する 個人用と事業用の口座が混在していると、法人化の際に資産の移転が複雑になります。今のうちに完全に分離しておきましょう。

3. 税理士に相談する 法人化のタイミングは、税金のシミュレーションをした上で判断するのがベストです。税理士に相談して、最適なタイミングを一緒に考えましょう。

4. 事業計画を作成する 法人設立時や銀行口座開設時に、事業計画が求められることがあります。今のうちに、過去の実績と今後の計画を整理しておきましょう。

→ 法人化の詳細は、ハンドメイド作家の法人化ガイドをご覧ください。

法人化しなくても「経営者意識」を持つ

法人化はあくまで「形」です。大切なのは、法人化するかどうかに関わらず、「経営者としての意識」を持つことです。

経営者意識を持つとは:

  • 数字で判断する(感覚ではなく、データに基づく)
  • 投資と消費を区別する(お金の使い方を考える)
  • 時間の価値を認識する(自分の時間にも時給がある)
  • 中長期の計画を立てる(今月だけでなく、1年後、3年後を見据える)

成長を続けるハンドメイドブランドに共通するのは、「経営者意識」を早い段階から持っていることです。趣味の延長としてハンドメイドを続けるか、事業として本気で取り組むか。月商30万円を超えた今こそ、その覚悟を固めるタイミングです。


事業を成長させた作家に共通する4つの転換

「作る」から「経営する」への意識転換

月商30万円前後は、多くのハンドメイド作家にとって大きな転換点です。「作りたいものを作って、売れたら嬉しい」というスタンスから、「事業として成長させたい」という意思が明確になるタイミングでもあります。

PRIMA!でも、代表のSHIZUKIがビーズアクセサリーの制作に注力する一方で、私がマーケティングやDXの視点を取り入れ、データに基づいた意思決定を進めていきました。

成長フェーズで取り組むべきこと

1. 価格設定の見直し 全商品の原価を再計算し、適正な利益率を確保できるよう価格を調整することが重要です。値上げに対する不安はつきものですが、ブランドの価値を理解してくれるお客様は離れにくいものです。

2. SNSマーケティングの本格化 投稿の頻度と質を上げ、ストーリーズやリールを活用した本格的なSNSマーケティングに取り組みましょう。PRIMA!もInstagramで60,000フォロワーを獲得し、SNSが重要な販売チャネルになりました。

3. 在庫管理の仕組み化 人気商品の欠品を防ぐため、在庫管理の仕組みを整えましょう。需要予測に基づいた生産計画を立てることで、無駄な在庫を減らし、資金効率を改善できます。

4. 経理の整備 会計ソフトを導入し、毎月の損益を正確に把握することが大切です。「どの商品が利益を生んでいるか」が可視化されると、ラインナップの最適化ができるようになります。PRIMA!でもCRM自社開発により月次集計を5時間から10分に短縮(95%削減)し、データに基づく意思決定を進めました。

月商30万円から次のステージへ

これらの施策を実行することで、売上のさらなる成長と、最終的な法人化への道が開けます。月商30万円は「ゴール」ではなく、「次のステージへの出発点」です。


月商30万円の作家が今日からできるアクションプラン

最後に、今日から実践できる具体的なアクションプランをまとめます。

今週中にやること

  • 全商品の原価を再計算する → 原価計算ガイドを参考に
  • 会計ソフト(freee or マネーフォワード)に登録する
  • 事業用口座を個人用と完全に分離する

今月中にやること

  • 過去3ヶ月の売上・経費・利益を集計する
  • 商品別の利益率を計算する
  • 値上げ対象の商品を特定する
  • 在庫管理スプレッドシートを作成する → 在庫管理ガイドを参考に
  • 税理士の無料相談を予約する

3ヶ月以内にやること

  • 値上げを実施する(10〜20%アップ)
  • 自社ECサイトを開設する(BASE or STORES)
  • 顧客管理スプレッドシートを作成する
  • 月次振り返りの習慣を始める
  • 外注の検討を始める(まずは梱包・発送から)

半年以内にやること

  • 高単価商品ラインを追加する
  • Instagram集客を本格化する → Instagram集客ガイドを参考に
  • 法人化の可否を税理士と相談する → 法人化ガイドを参考に
  • 事業計画書を作成する

よくある質問(FAQ)

Q1: 月商30万円と月収30万円は違いますか?

A: はい、大きく異なります。月商は「売上」、月収は「手取り(利益から税金・社会保険料を引いた額)」です。月商30万円の場合、経費を差し引いた利益は15〜20万円程度、さらに税金・社会保険料を差し引くと手取りは10〜15万円程度になることが多いです。利益率を改善することで、手取りを増やせます。

Q2: 月商30万円を安定させるのが先?それとも仕組み化が先?

A: 両方を並行して進めることをおすすめします。ただし、まだ月商30万円が安定していない場合は、まず売上の安定化を優先しましょう。不安定な状態で仕組み化に投資すると、コストだけが増えてしまいます。3ヶ月連続で月商30万円を超えたら、仕組み化を本格的に始めるタイミングです。

Q3: 外注を始めるときの注意点は?

A: 以下の点に注意してください。

  • 品質管理: 自分の品質基準を明確にし、外注先に伝える
  • コスト計算: 外注費を含めても利益が出るか確認する
  • マニュアル作成: 制作手順をマニュアル化して渡す
  • 契約書: 秘密保持・品質保証について書面で合意する
  • 少量からスタート: 最初は少量の作業から依頼し、品質を確認する

Q4: 自社ECとminne、どちらに注力すべき?

A: 段階的に移行するのがベストです。月商30万円の段階では、minne・Creemaが主力でしょう。これらは「新規顧客獲得チャネル」として引き続き活用しつつ、自社ECを「リピーターチャネル」として育てていくのが理想です。最終的には、売上の50%以上を自社ECにすることを目標にしましょう。

Q5: 月商30万円から月商50万円にするためのポイントは?

A: 以下の3つがポイントです。

  1. 客単価を上げる: 値上げ + 高単価商品ライン追加 + セット販売
  2. 販売チャネルを増やす: 自社EC + SNS集客の強化
  3. リピート率を上げる: 顧客管理 + LINE公式アカウント + リピーター施策

「販売数を増やす」よりも「客単価とリピート率を上げる」方が、持続可能な成長につながります。


まとめ:月商30万円は「次のステージ」への出発点

月商30万円を超えたあなたは、もう「趣味でハンドメイドをやっている人」ではありません。あなたは「事業者」です。

今日の記事のポイント:

  1. 税金対策: 青色申告65万円控除の活用、経費の漏れチェック、税理士への相談
  2. 生産体制: 外注の検討、制作工程の効率化、時間の使い方の見直し
  3. ブランド強化: 値上げ、高単価商品の追加、自社ECの構築
  4. 経営管理: 帳簿・在庫・顧客の仕組み化、月次の数字振り返り
  5. 法人化準備: サインの確認、事前準備、経営者意識の醸成

月商30万円を超えた時期に「趣味の延長」から「事業」への転換を果たした作家は、その後さらに成長を遂げているケースが多いです。

月商30万円は「ゴール」ではなく、「次のステージへの出発点」です。この記事が、あなたの次の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。


著者: 牧野悠(PRIMA! マーケティング・DX支援 / 株式会社AsetZ 執行役員)

一部上場金融機関出身。ハンドメイドビーズアクセサリーブランド「PRIMA!」のマーケティング・DX支援を担当。Instagram 60,000フォロワーのブランド成長に貢献。CRM自社開発による業務効率化(月次集計95%削減)を実現。現在はハンドメイド作家の事業成長支援に注力している。


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牧野悠

PRIMA! マーケティング・DX支援 / 株式会社AsetZ 執行役員

ハンドメイドビーズアクセサリーブランド「PRIMA!」のマーケティング・DX支援を担当。Instagram 60,000フォロワー。一部上場金融機関を経て、20名規模のDX支援企業の執行役員を務めながら、作家・生産者のビジネス成長を支援しています。

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